「子どもの介護で仕事に行けず、家計が苦しい」
「療育や通院、オムツ代など、目に見えない出費がかさんで不安…」
障害のあるお子さんを育てる中で、将来の経済的な不安を感じることは当然のことです。障害児福祉手当(しょうがいじふくしてあて)は、精神または身体に重度の障害があるため、日常生活で「常時の介護」を必要とする20歳未満のお子さんに支給される国の手当です。
この手当は、お子さんが健やかに成長し、ご家族が安心して生活を送るための「生活費の補助」として支給されます。
【この制度のポイント】
月額 約1.5万円が支給される(2026年度は月額 15,690円。返済不要のお金です)
「特別児童扶養手当」とダブルで受給できる(条件を満たせば、両方の手当を同時にもらうことが可能です)
使途(使い道)は自由(療育の費用だけでなく、生活費や将来の蓄えにも充てられます)
1. 制度の概要
障害児福祉手当は、重度の障害があるために日常生活のあらゆる場面で家族などの助けが必要なお子さんの、経済的負担を軽くするために設けられた制度です。
「特別児童扶養手当」が「児童を育てる親」に支給される性質を持つのに対し、障害児福祉手当は「障害のあるお子さん本人」に支給されるという法的な違いがあります。そのため、より重度の障害があるお子さんの生活をピンポイントで支える仕組みになっています。
2. 支援の内容
手当の金額や支給されるタイミングについて整理します。
① 支給される金額(2026年4月〜)
- 支給月額: 15,690円 ※物価の変動に合わせて毎年少しずつ改定されます。
② 支払時期
- 年4回(2月、5月、8月、11月)に、それぞれの前月までの3ヶ月分がまとめて指定の口座(通常はお子さん本人名義)に振り込まれます。
③ 他の手当との関係
「特別児童扶養手当(特児)」と併用できるのが大きな強みです。
- 特児1級(約5.5万円) + 障害児福祉手当(約1.5万円) = 月額 約7万円 重度の障害がある場合、このように手厚いサポートを受けることが可能になります。
3. 対象となる人
以下の条件をすべて満たしている方が対象です。
① 20歳未満であること
20歳になると、自動的に「障害基礎年金」や「特別障害者手当」への切り替えを検討することになります。
② 重度の障害状態にあること
おおまかな目安として、以下の状態が対象です。
- 身体障害: 身体障害者手帳の1級(一部2級)程度。
- 知的障害: 療育手帳のA(最重度)程度、または知能指数が概ね20以下。
- 精神障害・発達障害: 日常生活において、常に他人の助けがなければ自分の用を足せない状態。
【注意】 手帳の等級はあくまで目安です。最終的には、この手当専用の診断書の内容によって、都道府県や市が「常時の介護が必要か」を判定します。
③ 施設に入所していないこと
障害児入所施設などに入所している場合は対象外となります。ただし、「放課後等デイサービス」や「児童発達支援」へ通っている場合は在宅扱いとなり、受給可能です。
4. 申請先と必要なもの
手続きはお住まいの市区町村の「障害福祉窓口(こども福祉課など)」で行います。
5. 利用する際の注意点
① 所得制限がある
保護者(生計維持者)の所得が一定額を超えている場合、手当の支給が停止されます。
- 例:扶養親族2人の場合、所得制限限度額は約690万円前後 ※この金額は所得(年収から諸々の控除を引いた額)ですので、実際の年収ベースではもう少し高くなります。
② 毎年8月の「現況届」
受給が始まったら、毎年8月に「現況届(今の状況を知らせる書類)」を提出しなければなりません。これを忘れると支払いが止まってしまうので、必ず提出しましょう。
③ 年金を受けるようになると停止
お子さんが20歳前であっても、もし「障害年金」などを受けられるようになった場合は、この手当は支給されなくなります(通常は20歳から年金に切り替わります)。
6.よくある質問
- Q病院に入院していてももらえますか?
- A
はい、基本的にはもらえます。
大人の「特別障害者手当」と違い、子どもの場合は入院による制限がありません。病院にいても「在宅で育てている」とみなされるため、継続して受給できます。
- Q手続きから受給までどのくらいかかりますか?
- A
おおよそ1ヶ月〜2ヶ月程度です。
審査に通れば、申請した月の翌月分から手当が計算されます。遡って(さかのぼって)もらうことはできないので、対象だと思ったら早めに申請することが重要です。
7.まとめ
障害児福祉手当は、お子さんの育ちを支えるための「国からのエール」です。
日々の介護や療育で忙しい中、手続きは少し大変に感じるかもしれません。しかし、月々約1.5万円の積み重ねは、お子さんの将来の選択肢を広げ、ご家族の心の余裕を生む大きな力になります。
「うちは対象になるのかな?」と迷ったら、まずは役所の窓口で「障害児福祉手当の基準について知りたい」と相談してみてください。お子さんのために使える権利は、賢く、しっかり活用していきましょう。



